デリシャスタイム

ただ感情の隆起した部分をここに詰め込んでるだけです。

西加奈子著 「i」 感想

西加奈子著 「i」 感想
 
私達は生活の中で考えが及ばないことが多いと本書を読んで感じた。

日本では多くの人が議論とかけ離れた生活を送っている。 ジェンダーや難民、環境問題などの社会問題について語ると難しいねの一言で終わってしまう。 普段の会話は半径1メートルの中で完結する話で、10キロ先、100キロ先、その先何千キロ何万キロ先の世界は話さない。 エゴだとか学を見せつけてるだとか思われるかもしれない。

そんな不安と葛藤しながらどうしたら社会は改善されるのか途方も無い問に嫌気がさしてくることもある。
この本は私のそんな問題を一気に解決してくれた本だ。
作者ががあとがきで語っていた言葉がずっと心のなかに残っている。
「ある貧困の国に行った時、貧困さに胸が苦しくなったけれど、そのあと免税店で安くなってるものに目が行ってしまってそこで吐きそうになった」
貧困で苦しむ人や、戦争で悲しむ人々のことをニュースで見て考える自分と、友人と一緒にお酒を飲む自分は一緒なのだけれどすごく違和感がある。
だから私が戦争や貧困などで困っている人について悲しんだり祈ったりすることは意味がないことだと疑いたくなる。
でもこの本では「誰か苦しみを持った人を想像して思い起こし、想うことで相手は存在していて、存在しうる。
たとえ想うことが無力に感じても想い続けることが大切だ。 」と教えてくれた。